「２０１０年　１０月　１日のシェフブログより」
あれから２０年・・・       


そう　今日１０月１日  

２８歳の夢と希望に満ち溢れた一人の料理人がフランスへと旅立った日である。  

思い起こせば良くも悪くも思い切った決断だった。  

この１２月に２１歳になる長男が生まれて10ヶ月の時です。  

ふと思えばあれから２０年　常に背伸びして、つま先立ちでよくここまで歩いてこれたものだ。  

身の程知らずだと思われようが、大きいことを言ってはそれに自分自身を近づけようとする。  

典型的な弱輩者の手法である。  

しかし人間この歳になるとなかなか「自分の生き方」を変えることは難しいことだとつくづく感じるのです。  

おそらく料理人というか、店をやっているうちは、かかとを地面につけて等身大で歩くことは出来ないし、今更してはならないこと。  

なぜなら自分らしさが無くなってしまいそうだから・・・    

こんな感じの書き出しの文章でした。   



※渡仏して３ヶ月が過ぎた頃、我が家から息子 駿弥の写真入りの年賀状が届きました。   


今思えば家族やまわりの人たちの協力があってのことだと本当に感謝しています。  

この６年間はあっという間でした。

６年というと小学校に入学して卒業するまで、もしくは、中学校＋高校の６年間。そう思うと長いけれど、この歳になっての６年は本当に早いものです。  

６年前というと今の２番手の木村が４月に入社した年。その木村が９月１９日にシャトーで結婚式を挙げました。  

３年目迄は遅刻ばかりしていた若者は、４年目に新婦の晶子さんと出会い激的に変わりました。  

仕事に取り組む姿勢。人としてどうあるべきかを少しずつ感じ考えながら行動していったと思います。  

これからも後輩の手本となるように、料理人として一人の男として更なる成長をしてほしいと願っています。

そしてふたりで力を合わせて幸せな家庭を築いていってほしいと思っています。   

嬉しいことにラ・パルム・ドールの卒業生も何人か列席してくれました。   

そのなかでも当時の２番手の阪本は木村の最初の３年間しか知らない訳で、その成長ぶりに感極まって涙、涙でした。   

人はその気になれば、いつからでも変わることが出来ると思うのです。   

もちろん先を見て夢や希望を抱くことも大事です。   

しかし本当に大切なことは「今」を精一杯生きるということだと感じるのです。   

これからウェディングシーズン、そしてクリスマスや年末年始に向けて忙しい日々のなか、その瞬間を若いスタッフと共有して頑張っていきたいと思っています。